地域医療
基本健康調査結果票の見方

身体計測, 肥満度判定

肥満は成人病の元凶です。できれば太っている方は標準体重に近づける必要があります。
標準体重の求め方は 身長(m)×身長(m)×22 で求められます。
たとえば身長が170cmの方の標準体重は1.7×1.7×22=63.6kgとなります。
ただし今回の身体測定で太りすぎと判定された方でもがっかりしなくても大丈夫です。
いまの体重の5%減量するだけでもかなり成人病は予防されるともいわれていますので、あせらずライフスタイルを見直して1年くらいかけて標準体重に近づけていけばいいのです。
また痩せと判定された方はもともとの体格,体質もありますので無理に太る必要はありません。
また急に体重減少した方は何か病気が潜んでいる可能性がありますので医師にご相談ください。

検尿

尿糖 正常値(−)
尿糖が陽性の場合考えられること
代表的な疾患は糖尿病ですが、先天的に糖の再吸収が悪いために尿糖が陽性となる腎性糖尿ということもあります。後者は特に治療も必要ないものです。
その他妊娠、肝臓病、内分泌疾患、胃切除後、膵臓疾患、腎疾患、重金属中毒などいろいろな疾患で尿糖は陽性になります。
尿蛋白 正常値(−)から(±)
尿蛋白が陽性の場合考えられること
健康な人でも激しい運動,発熱,ストレスが原因で陽性となることはあります。早朝第一尿をとって持続的に蛋白尿が陽性なら原因検索を行ってもらいましょう。何らかの腎臓病や尿路系の結石,腫瘍ということもあります。
尿潜血 正常値(−)から(±)
尿潜血が陽性の場合考えられること
健康な人でも激しい運動の後一過性に血尿がある場合もあります。血尿をきたす疾患としては何らかの腎臓病、尿路系の結石や腫瘍、感染症、外傷、血管障害、薬剤による障害、遊走腎などがあります。
尿蛋白も尿潜血も両者とも陽性の場合慢性糸球体腎炎などの進行性の腎臓病が潜んでいることもありますので医師にご相談ください。

貧血

正常値

 
赤血球 420−560万/mm 380−500万/mm
ヘモグロビン 13.0−17.0g/dl 11.2−14.7g/dl
ヘマトクリット 39.0−50.0% 33.5−43.5%

上記が低値を示す時考えられること
血液中の赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリットが減少した状態を貧血といいます。これらが減少してくると顔色が悪い、疲れやすい、階段を上ると息が切れるなどの症状が出てきます。日常多く見られるのは鉄欠乏性貧血ですが、この原因として子宮筋腫や消化管の潰瘍や腫瘍のこともありますので精密検査を受けることをお勧めします。

上記が高値を示す時
男で赤血球数600万以上、ヘモグロビン18以上、ヘマトクリット55%以上、女で赤血球数550万以上、ヘモグロビン16以上、ヘマトクリット50%以上は多血症が疑われます。真性多血症では脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高いといわれていますので医師にご相談ください。

肝機能

正常値

GOT(AST) 10−40IU/L
GPT(ALT) 6−40IU/L
γ-GPT 50以下IU/L

上記が高値を示す時
GOT、GPTは主に肝臓の中にある酵素の一つです。肝細胞が壊れると血液中のGOT,GPTが上昇してきます。劇症肝炎では数千にまで上昇することもあります。慢性肝炎では数10から数100までを変動することが多いです。また脂肪が肝臓に溜まって脂肪肝になっても100前後まで上昇することがあります。
γ−GTPはアルコールの多飲(毎日3合以上)や薬剤の影響、胆道系の異常(胆石、炎症、腫瘍)、肝炎などで上昇します。アルコールを1ヶ月くらいやめて再検査すると原因がわかりやすいと思います。
今回検診で肝機能の異常を指摘された場合、B型肝炎やC型肝炎の可能性も考え再検査されるといいでしょう。
また肝疾患以外にも心筋梗塞、心不全、筋疾患、溶血性疾患でGOT,GPTは上昇しますがこの場合GOTがGPTよりも高値をとります。

上記が低値を示す時
問題となる疾患はありません。

血糖

正常値

  空腹時

随時血糖

血糖

70−110mg/dl未満

200mg/dl未満

血糖が高値を示す場合
1997年から空腹時血糖が126以上あれば糖尿病と診断されるように基準が厳しくなりました。また随時血糖が200以上でも糖尿病と診断されます。
空腹時血糖が110から125の人たちは正常とはいえず、境界型に分類されます。
さて血糖を問題視するのは糖尿病が日本では急増加しており、総人口1億二千万人のうち約700万人が糖尿病といわれているからです。糖尿病がもとで腎不全になり透析に導入される人数は年間約10000人、糖尿病性網膜症で失明する人数は年間約4000人で失明の原因のトップとなっています。また糖尿病は動脈硬化を促進して心筋梗塞や脳梗塞のリスクをかなり上昇させますし、感染症に対する抵抗力も低下させます。1955年と比較すると糖尿病患者は70倍にも増加しています。これは食事,運動の影響が多大にあり、今後見直ししていかなくてはならない問題です。
その他血糖が高値を示す場合は薬剤(ステロイド、経口避妊薬)、遺伝性疾患、肝硬変、飢餓、低栄養、ストレス、感染症、胃切除後、肥満などがありますので医師にご相談ください。

血糖が低値を示す場合

空腹時血糖50以下は低血糖症に属しますが、原因としてはインスリノーマ(インスリンを作る腫瘍)、内分泌異常(下垂体機能低下症、副腎機能低下症、甲状腺機能低下症)、胃切除後、肝硬変、絶食、激しい運動、授乳、ある種の薬剤などがあります。

ヘモグロビンA1c

(検診では血糖が高値で糖尿病と診断されていない人のみ測定しています。)

正常値

ヘモグロビンA1c 4.3−5.8

高値を示す場合
ヘモグロビンA1cは約1から2ヶ月の血糖コントロール状況を示すマーカーです。そのためこの値が高いということは血糖のコントロールが不良であることを示しています。糖尿病の合併症を防ぐにはヘモグロビンA1cが7%未満に保つのが望ましいといわれています。欲を言えば6%未満がいいと考えられます。
ただし、肝硬変や溶血性貧血を合併しているとヘモグロビンA1cは低めになるので当てにならないことがあります。

低値を示す場合
インスリノーマや溶血性貧血など特殊な場合のみです。

循環器

正常値

 
総コレステロール 130-220mg/dl 左同
HDL-コレステロール 40.0−66.0mg/dl 47.0-73.0mg/dl
中性脂肪(TG) 35−150mg/dl 左同

総コレステロールが高値を示す場合
家族性高コレステロール血症、二次性高コレステロール血症(糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、内臓肥満、妊娠などが原因)などがあります。いずれの場合でも、高コレステロール血症が長く続くと動脈硬化の原因となって心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。
高血圧,糖尿病,喫煙者、男45歳以上女は閉経後、肥満などがある人は総コレステロールが220以上なら食事運動療法に加え薬物療法も考慮したほうがいいとされています。
心筋梗塞や狭心症の方は総コレステロール200以下にしたほうがいいといわれています。

低値を示す場合
家族性低コレステロール血症、続発性低コレステロール血症(肝細胞障害、甲状腺機能亢進症、アジソン病、悪液質、吸収不良症候群など)

HDL-コレステロールが低値を示す場合
HDL-コレステロールは善玉コレステロールとも言われ動脈硬化予防の働きがあります。そのためこれが少ないと動脈硬化をきたし、特に心筋梗塞の危険が増加します。喫煙,肥満,運動不足、偏食などで低下するため生活習慣の改善が必要です。

中性脂肪が高値を示す場合
中性脂肪は食後4から6時間後に最大値となるため早朝空腹時、12から16時間絶食後に採血する必要があります。
さて中性脂肪が高い場合は動脈硬化の危険があること、急性膵炎発症の危険があることが問題となります。特に中性脂肪が1000以上である場合はすぐに治療しないと膵炎を起こす危険があります。また中性脂肪の値はアルコール制限、カロリー制限、肥満の解消、有酸素運動などでかなり改善します。糖尿病やネフローゼ症候群や甲状腺機能低下症などで中性脂肪が高い方は原病の治療を行えば改善してきます。

血圧

日本高血圧学会がだしたガイドライン(JSH2000)によると、高血圧の基準が以前よりも若干厳しくなりました。 それによると至適血圧は収縮期血圧120未満、かつ拡張期血圧80未満です。正常血圧は収縮期血圧130未満、かつ拡張期血圧85未満です。
収縮期血圧140以上、または拡張期血圧90以上では脳血管障害の発生が高くなってくるため注意が必要となります。
また70歳以上の方は収縮期血圧が160以上、拡張期血圧90以上で治療を考えたほうがいいとされています。
また糖尿病、喫煙、高コレステロール血症、動脈硬化を示す所見があれば血圧は正常化させるべきと考えられます。

高血圧を指摘された方はまず生活習慣を見直してください。
1)食塩制限7g/日以下(調味料として添加する食塩は4g/日以下)
2)適正体重の維持(標準体重+20%以下)
3)アルコール制限(日本酒1合以下)
4)コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
5)運動療法(有酸素運動)…医師に相談して下さい。
6)禁煙

心電図

不整脈や虚血性心疾患、心臓肥大などを見る検査です。

理学的所見

いわゆる診察のことでさまざまな異常をチェックします。

眼底検査

高血圧眼底、糖尿病性網膜症の有無、その他特殊な病気の発見に有用です。
眼底所見を見た時キースウェゲナー慶大変法分類でUb以上では正常者に比して脳卒中の発生率が約10倍といわれています。一瞬まぶしいですが検査を受けることをお勧めします。(内科では行っていないところもありますが、その際は眼科へご相談ください。)
票に書いてあるKW0は正常眼底、Tは動脈硬化や高血圧性の変化が軽度あるもの、UaはTがやや進行したもの、Ubは眼底出血や硬性白斑が加わったもの、Vは網膜浮腫、軟性白斑、星状斑が見られるもの、Wは乳頭浮腫がみられるものと後になればなるほど悪い状態です。ただし治療で改善しますので医師にご相談ください。

クレアチニン

正常値

クレアチニン 0.60−1.30mg/dl

高値を示す時考えられること
腎臓の機能が低下した時、高度な脱水状態、その他巨人症、甲状腺機能低下症など

低値を示す時考えられること
糖尿病性腎症の初期、妊娠中、筋肉量が著しく低下した時(筋萎縮性疾患、長期臥床)

尿酸

正常値

 
尿酸 2.5-7.5mg/dl 2.0-6.5mg/dl

尿酸が高いと痛風といって関節が痛くなる病気になったり、尿路結石ができたりします。また動脈硬化をかなり促進する危険があり心筋梗塞、脳梗塞、腎障害の原因の一つともなりえます。食べ過ぎ、アルコールの飲みすぎ、肥満、運動不足によって尿酸は上昇しますので生活習慣を改善したほうがいいでしょう。
低尿酸血症の原因は尿酸の合成が低下している場合(酵素の欠損、重症肝障害)、腎臓からの尿酸の排泄が亢進している場合(先天的、薬剤、尿細管障害)とがあります。

※尚上述した正常値は施設によっては多少異なりますのでご承知ください。

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